ピザと専用釜
イタリアの農業省は、以前、国内のピッツァ専門店に対してラウンドピッツァなど「伝統的なナポリピッツァ」の規定を示したことがあります。イタリア国内ではスローフードとしても親しまれているのがピザで、この伝統を残す動きも見られたわけです。
しかし反面、こうした動きとは別にイタリアでも、もっと手軽に本格的なピザを求める人達も多くなっているようで、盛り付け済みの冷凍製品を電子レンジで温めることに加えて、自動で生地を作るところからスタートして、トマトペーストを塗り、具をトッピングしてから内蔵されたオーブンで焼くピザの自動販売機が2009年に設置されています。
これが賛否両論を招いているとのことですが、ここでもポイントになっているのが、やはり「生地の焼き方」ということでしょう。ピザ釜にこだわる人が多いのも、焼き方次第で大きく風味が変わってくるからでしょう。
ピザの専門店に行くと、大きなピザ釜がまるで本格の象徴のように設置されています。ピザ釜なら、ピザ生地の表面をサクサクと焼き上げ、チーズも香ばしくなり、しかしピザの中は酵母の香りで満ちています。
更にトッピングした具材の美味しさをしっかり閉じ込めてくれるので、ピザを上品に美味しく焼くための必需品のような存在になっています。
そのポイントは輻射熱にあるようで、ピザ釜の輻射熱はとても強力です。また、レンガなどによって密閉されているので、内部の熱が逃げず、食材全体に充分火が通るのも大きなメリットになっています。
こうした点が汎用のオーブンとは異なり、ピザ好きは家庭でもピザ釜を求めるのです。